【インタビュー】“常識破りのゲーミングPC”はいかにして生まれたのか!? 新GALLERIA開発者インタビュー –

 サードウェーブのゲーミングPC「GALLERIA」が7年振りに刷新された。デザインは現行モデルを“踏襲せず”、すべて一からデザインし直し、近年、フラッグシップとして君臨していた“eスポーツマシン”GALLERIA GAMEMASTERすら統合するという、極めて野心的なビッグプロジェクトだ。

ついに発売が開始されたGALLERIA

新GALLERIAをお披露目したサードウェーブ上席執行役員の松原昭博氏

 ゲーミングPCに限らず、PCはコンペティターと差別化を図るのが難しい分野だ。有史以来、極端なモジュール化を採る分野だけに、ケースを開けば中身は同じ、とりわけゲーミングPCはパフォーマンスが何よりも重視されるため、各社示し合わせたかのように同じパーツがチョイスされる。

 こうした中でPCメーカー各社は、高性能をイメージとして伝えるCMを打ったり、eスポーツや人気タイトルなど特定のターゲットに強くアピールするプロモーションを展開するなどして工夫を凝らしてきたが、「そうじゃないんじゃないか? もっとゲーマーに目を向けるべきじゃないのか?」と、“業界の常識”そのものを疑ってかかったのが、サードウェーブのGALLERIA開発チームだ。

 近年、GALLERIAは、“デザインに意味を込めること”を非常に重視しており、それは2018年にリリースされたGALLERIA GAMEMASTERの側面へのアクリルパネルの採用に合わせて、ケーブル類を背面にまとめ、見た目のみならずエアフローも改善する構造や、2019年にリリースされたガンメタリックカラーを採用したスタイリッシュゲーミングノートPCの提案などがそれにあたるが、そうした取り組みの1つの集大成と言えるのが今回登場した新GALLERIAだ。

 この“カッコイイゲーミングPC”はどのような経緯で生まれたのか? 今回は、新生GALLERIAの企画、設計に携わったサードウェーブの武藤亮太氏と瀧吉佑介氏に、新生GALLERIA誕生経緯について話を伺った。

新GALLERIAプロダクトマネージャーの武藤亮太氏(左)と、製品企画担当の瀧吉佑介氏(右)

リブランディングの経緯について

――今回は新生GALLERIA(ガレリア)について、その誕生経緯の部分から順番に伺っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

武藤氏: よろしくお願いいたします。我々は今まで、ゲームタイトルのファンフェス、メーカーとのコラボ企画、eスポーツ大会など、多くの方々と接する機会が度々ありました。そのような場所で、ゲームをしている人たちの生の声をたくさん耳にしました。

 そんな時、ゲームを始めたばかりであったり、初めてコミュニティに入ってきた方々に対して、「我々のメッセージはちゃんと伝わっているのかな?」、「今のままのブランドメッセージでいいのかな?」という個人的な疑問がありました。

――それはいつ頃感じられましたか?

武藤氏: 最初に感じたのは、C4 LANです。本当にゲームが好きな、濃いお客様が多く参加されていて、会場はすごい熱気でした。その熱気に圧倒されながら、「もっとGALLERIAの想いを伝えたい!」と思ったんです。

 ここ数年、eスポーツが社会的に盛り上がる中で、弊社は東京にeスポーツ施設“ルフス池袋(LFS 池袋 eSports Arena)”をオープン、“全国高校eスポーツ選手権”、“GGC”など大会の開催、“高校eスポーツ部支援プログラム”の実施など、様々な活動をしてきました。「ゲーマーの人たちを応援していこう」というスタンスの中で、ブランディングであったり、メッセージングという部分を、“GALLERIA”という製品を通してお客様に届けたいと強く思ったのが今回のリブランディングのきっかけです。

――今回はなんといってもフルモデルチェンジですよね。極端なことを言えば、リブランディングだけなら、イメージだけを変えるだけでも良いわけですが、プロダクトのデザインから何から全部変えるという決断に至った経緯をお聞かせいただけますか。

武藤氏: 全面的なリブランディングというよりは、我々は、ブランディングのアップデートだと思っています。全部壊して次に……ではなく今まで積み重ねてきたものを大事にしながら、更に進化させる。それが今回のリブランディングです。GALLERIAは“コアなユーザーの方”には多くのご支持をいただいていて、その方たちに向けてのメッセージはしっかり伝わっているだろうなという手応えは以前よりありましたが、これからゲームを始める方々からは、「どういう存在で見えているのだろう」という疑問がありました。ずっとご支持くださっているゲーマーの方々、これからゲームを始める方々、すべての方にアップデートしたGALLERIAを知ってご理解いただくには、「今までの常識を変えていこう」ということになったんです。

 その第1弾として、昨年発表させていただいた「QCノート」では、「日常でも使えて、その上ゲームでも使える」というメッセージを出しました。ゲーミングPCというと、ゲームに特化していると思われがちですが、ゲームだけにPCを使うわけではなく、日常生活でもそのPCを利用している方がほとんどです。でもそれは実際にゲーミングPCをもたないとわからない。ただ「性能が良いよ」と伝えるのではなく、自分がこのPCをもったら、こういう使い方ができるな……と想像していただけるようなメッセージにしました。それまでは、性能に特化したメッセージが多かったので(笑)。その次に変えたのがケースデザインです。なんと7年ぶりのリニューアルです。

【GALLERIA GCR2070RGF-QC】

2019年10月にリリースしたQCノート。ガンメタリックカラーの薄型ボディにLEDキーボードを採用したスタイリッシュノート

――7年振りですか! ケースのリブランディングについて意識した箇所を教えていただけますか?

武藤氏: まず、色です。新しいガレリアのイメージカラーはネイビー、紺です。

――紺ですか。その心は?

武藤氏: 「ブレイク・ザ・ノーマル」、今回のリブランディングのコンセプトです。

瀧吉氏: 我々の解釈は「常識を打ち破れ」です。

【常識を打ち破れ】

武藤氏: ゲーミングPCといえば黒……というのが、業界の定番です。しかしいったんそこから抜け出た形で考えてみようとなりました。また、サードウェーブのコーポレートカラーは、ドスパラも含めてブルーなんです。そこのアイデンティティもしっかり表現したかったんです。

――GALLERIAのアイコンも変わるのですか?

武藤氏: そうですね。アイコンも変わりました。

瀧吉氏: 国内のBTO PCメーカーとして、我々が当たり前だと思ってやってきたことの中で、業界外や一般のお客様からは理解されないことが多々あります。例えば、製品のモデル名称の意味など、社内やマスメディアの方々には当たり前でも、数年に1回買い換える方には分かりづらい、ましてや初めて買う方はもっとわからない。だったらそういうのは全部やめてしまおうとなりました。なので「黒」もやめちゃえと(笑)。

武藤氏: 「ドスパラはとっつきにくい」というイメージがあるといわれることがあり、改めて多くの方々にわかりやすく、自己紹介しないといけないと思ったんです。開発者である我々がゲーマーで、誰よりも強いこだわりをもってPCを開発していることなどを、ちゃんと伝えることができているかどうか、その部分が今一番の課題だと思います。あまりにもGALLERIA=eスポーツのイメージが先行してしまい、製品づくりへの想いが伝わっていないように思いました。

【ロゴもブルーへ】

――よくも悪くもeスポーツばかりになっていたのではないかと?

武藤氏: そうです。GALLERIAは競技性をもつeスポーツだけでなく、昔から“ゲーム”といわれるゲームも大事にしています。GALLERIAは「For All Gamer」です。ゲームを仕事にしている人、多くのeスポーツプレーヤーが出てくるなど、ゲームの環境が変わってきている中で、ゲームやeスポーツを軸としたエコシステムが、今まで以上にもっと見え始めています。そこに対しては、GALLERIAをきちんとアップデートをかけないといけないというところに思い至りました。

――eスポーツだけのGALLERIAではなく、全てのゲーマーのためのGALLERIAだと。

武藤氏: そうです。PCゲームだけをする方もおられると思いますが、例えば、外出先ではスマホで、帰宅したら据え置きのデスクトップでゲームをするというように、ゲームが日常の一部になりつつある方がとても多くなってきている。そういう状況に変わってきていることを我々も理解していて、そういった全てのゲーマーのことを考えてPCを作っています。

eスポーツマシン「GALLERIA GAMEMASTER」を統合する新GALLERIA

――新ケースについて質問を重ねる前に1つ整理したいのですが、GALLERIA(ガレリア)というブランドはGALLERIAとGALLERIA GAMEMASTERという、2つのブランドで構成されていますが、この新GALLERIAとは別に新GALLERIA GAMEMASTERもあるんでしょうか。

瀧吉氏: ありません。“GALLERIA GAMEMASTER”は、“GALLERIA”に統合いたします。eスポーツ元年と言われた2018年、eスポーツを始める方々にわかりやすいアイコンとして、「GALLERIA GAMEMASTER」を開発しました。しかしながら、ゲームとeスポーツってそんなに分ける必要があるのかな……と。GALLERIAはゲームもeスポーツも分け隔てなく、存分にプレイできるPCですのでこの度、統合しました。

【GALLERIA GAMEMASTER】

左サイドを全面クリアパネル、右サイドに吸気口という斬新なデザインが話題を集めたハイエンドモデル「GALLERIA GAMEMASTER」

――なるほど、よくわかりました。さて、新ケースですが、私も今回初めて実物を拝見しましたが、ケースの基本哲学はどちらかというと「GALLERIA GAMEMASTER」寄りですよね。

瀧吉氏: 要素はあります。これはアルミ仕様のプレミアムモデルで、量販店さんでも販売します。これとは別に、ドスパラでのみの販売となるスタンダードモデルとして、スチールにガンメタリック塗装をした2種類からケースをお選びいただけるようになっています。

――なるほど、前はPC選びの入り口の時点から、ブランドが2つに分かれていましたが、今後は入り口は1つで、2種類のケースから選択できるんですね。

武藤氏: まず、お客様から見た時、わかりやすいメリットとしては、自分がやりたいのがeスポーツなのかゲームなのか迷わないで済みます。入り口が2つというのはお客様にとってわかりづらい状況だったかもしれません。

――なるほど、消費者視点でみると、GALLERIA GAMEMASTERはeスポーツマシン、GALLERIAはゲームマシンという分け方だったと思うのですが、今後のブランディングというのは、どういう風になりますか?

武藤氏: GALLERIA GAMEMASTERは終わったわけではなくて、新しいブランドの中のeスポーツエリアの中でしっかり息づいているという感じです。概念はちゃんと残した上で展開していきます。

――ちなみに価格ですが、価格帯は変わってきますか?

瀧吉氏: 価格のレンジは今までと変わりません。基本的には、今のGALLERIAのプライスラインというのが、買っていただけるベストなところという感触があります。

――GALLERIAと一口にいっても、様々なシリーズが存在しますが、今回のトータルラインナップはどのくらいになりますか?

瀧吉氏: 現行とそれほど変わらず35くらいです。

――そのままなんですね。

瀧吉氏: 今までと違うのは、今後はシリーズという概念でラインナップを図ります。今までのネーミングはわかりづらかったので、まずシリーズ、その中で各シリーズに沿った構成のPCを展開します。

【新GALLERIAのラインナップ】

旧GALLERIAのラインナップ。10以上のシリーズが存在していた

新GALLERIAではこれを4つに統合する

――つまり、「XF」のような末尾2文字のアルファベットで呼称するのを辞める?

武藤氏: なくなります。今後は「U」、「Z」、「X」、「R」という4シリーズです。PCを選ぶのは、多くの方々にとって大変だと思うんです。最初にネット上にある様々なレビューを見て、時間をかけて吟味するうちに、よくわからなくなってしまう。そこをシリーズで解決したかったのです。「U(Ultimate)」シリーズは圧倒的な高揚感。まさにゲームの世界に入り込める臨場感を味わえる、あらゆるゲームを最高の環境でプレイするための究極の性能を備えた至高のマシンです。「Z(Zealot)」シリーズは性能・品質すべてにおいてワンランク上のパーツを搭載した、ハイグレードシリーズ。「X(eXtend)」シリーズは性能のバランスにこだわり、プレイヤーの可能性をグンと引き出すマシンです。「R(Refine)」シリーズは余計なものを削ぎ落とし洗練されたスペックが、快適なプレイアビリティを実現します。

――GALLERIAも年毎によって、アプローチを変えてきていますよね。一昨年はGALLERIA GAMEMASTERのリニューアル。eスポーツマシンという位置づけが斬新でした。昨年はRyzenモデルなど色々ネタはありますが、やはりインテルさんと共同開発されたスタイリッシュノートPCが印象的でした。今年は、フルモデルチェンジしたというのが大きなインパクトですが、それ以外にどういった押し出し方をしていくのですか? たとえば、デスクトップはミニタワーもあるのか、ノートはどうなるのか、そのあたり如何ですか?

瀧吉氏: デスクトップはミニタワーと、背の高いミドルタワーの2種です。ノートは昨年発売したQCノート「QC」が、今回のリブランディングの先駆けです。今後は昨年発売した、ゲーム以外にも使えるゲーミングノートのバリエーションが増えていきます。

【ケースは2種類】

――それらも新GALLERIAに含まれるのですか?

瀧吉氏: 同じブランディングの中に入ります。ノートの方が先行していて、ガンメタリックカラーをスタンダードモデルに採用しています。

――なるほど、QCは、新GALLERIAの先行版みたいな感じだったんですね。

武藤氏: パイロット版に近いと思います。作り手の想いとか、どういう風に使ってほしいというところまで突き詰めて製品化できたと思っています。今回デスクトップを開発する時に、その想いを継いで、その先にあるものとして表現したいと思いました。

ケースデザインについて

――ケースデザインについてお伺いしていきます。これ制作は完全な内製ですか、それとも外注なんですか?

瀧吉氏: 外注です。しかし完全に丸投げではありません。何社かとお話しさせていだいた中で、車のコンセプトカーなどを実際に立体化するところまで、つまり、インダストリアルデザインではなくて、プロトタイプの制作までをこなす会社とご縁があって依頼しました。PCケースのデザインは過去にしたことがないということでしたが、コンセプトやこちらの想いを伝えたところ、素晴らしいデザインが完成しました。

 ケース製造メーカーは、かなりのチャレンジャーで、コンソールパネルの左右のカーブは、3次元プレス成形なんです。綺麗なカーブを作るのが難しくて「できますか?」と聞いたら「やってみる」といって作ってくださったんです。実際に形に起こすところで量産できないことがわかって妥協するパターンがあるのですが、そこもうまくクリアできて、こういう形に生まれてきました。

【ケースデザイン】

――個人的にケースデザインで聞きたかったのは5インチベイなんです。私自身、GALLERIAユーザーで、GALLERIAが5インチベイを大事にしてきたことをよく知ってますが、最初に新デザインを見たときに「ついになくしたんだ!」というのが私の中では一番大きかったんです。でも、仕様書を見たら実は残っていて、「やっぱりあるのかよ!」と(笑)。

瀧吉氏: そこはですね、ひと言でいうと“BTO屋の意地”ですね(笑)。中村さんのその反応がありがたいというか嬉しいですね(笑)。ドライブをなくすとデザインがきれいなんですよね。しかし、デザインがよくなればなるほど、お客様の選択の余地がなくなって、「自分でパソコンを作った」というBTOの価値や達成感を持っていただくことができないと。これはやばいなと思いました(笑)。新しいGALLERIAをやるにあたって、自分の中では、5インチベイは絶対に1個だけは残さなくてはならないと思って。

――残さなくてはならないっていいですね(笑)。

瀧吉氏: いろいろ考えて残しました。ただ、標準非搭載です。搭載しない場合、面一の同じ成形部品のパーツがはまっています。少し筋は見えますが、ぱっと見はきれいに見えている状態です。

――なるほど、ディスクドライブが顔を出すワクはあるんですね。途中でDVDを足したいと思ったら買ってスロットに入れればいいわけですね。

瀧吉氏: そうです。そこは自作のケースと同じで付けていただけます。普通のオープンの5インチベイが1個ありますという状態になります。

――なるほど、現在は、ゲーム機も、ディスクドライブがないモデルが発売される時代になってきています。PCもそうなるんだろうなと思っていましたが、そこはBTO屋の意地を見せたと。

武藤氏: 私ももともと自作をやっていた人間なので、あった方が便利というのはわかっています。でも「これから使うの?」というのはあると思います。そこで、あえて選択肢として残せるんだったら残そうかということになりました。

――それから本体カラーについて、アルミとガンメタとなり、ついに黒がなくなりました。GALLERIAはご多分に漏れず真っ黒なイメージですが、それをすっぱりやめたというのはどういう判断ですか?

瀧吉氏: それは、今回デザインに関わった者たち全員一致で、「黒はいやだ」と。「黒は辞めようと」最初から決めていました。ゲーミングPCは黒……という概念を壊したかった。正にブレイク・ザ・ノーマルですね(笑)。

 決意と覚悟というか、ケースを過去のものと分断したいなと。歴代のGALLERIAのケースを並べてみた際に、新ケースは「全然違うよね」、と言われるぐらいいろいろ変えてしまおうというのが出発点ですね。

左から順番に初代から現在までの歴代のGALLERIA。背景に溶け込んでしまうほど黒いが、それが業界の常識だった

武藤氏: 市場的な話をすると、弊社が2002年から、GALLERIAを始めて、ゲーミングPCの市場が成長していきました。市場が大きくなっていく中で、他社から発売されるゲーミングPCも“真っ黒”なケースが多く、結果として業界全体が“黒”のイメージになってしまっているじゃないですか(笑)。今回は、色もデザインも、その先にいきたいという想いがありました。

 我々は日本という市場の中で、「ゲーミングPCといったらGALLERIAだよね」といわれたいんです。そういわれる時に、多くの方の頭にこの新GALLERIAのデザインが浮かぶようになったら嬉しいですね。

瀧吉氏: ユーザビリティを考えたとき、今までケースなら機能面、性能なら冷却面に重きを置いていたのですが、根本的にそれは使っている人にとってあまり関係がないんじゃないだろうかというところに思い至りました。当然、社内には色々な意見があり、何を決めるにも100%同じ意見にはならない。「見た目にこだわるより性能では?」という意見もありました。ただ、お客様は、値段や性能が同じなら見栄えのよいものを選ぶと思うんです。

武藤氏: せっかく10万円以上もするものを買うのです。今我々は、ゲーミングPCというカテゴリのプロダクトにおいて、デザイン、性能、すべてにおいて満足を提供できているのかと、自分自身にも問い続けています。普通に作ると機能面の充実に固執してしまうので、それ以外もしっかり満たせる製品でありたいと考え続けた結果です。

――私もゲーミングPCを20年見続けていますが、ゲーミングPCって、それ自体が黒子の役割ってところが不思議なプロダクトですよね(笑)。性能一辺倒であとは価格勝負、ケースは商品の器ですみたいな。ただ、この新GALLERIAは、そもそもの哲学が違うぞというところで、日本のゲーミングPC市場における新たな時代の幕開けを感じました。

瀧吉氏: ありがとうございます。これまでのゲーミングPCのイメージは、「20万円で、性能が高くて、ビカビカ光って、すごい真っ黒いヤツ」だったと思うんです(笑)。それって正しいのかな?というのが根本にあったので、ケースデザインの哲学も変えていかなければいけないでしょうと思ったんです。

コンソールパネルのこだわりについて

――カラーリング、デザイン、色々こだわりが感じられますが、個人的に気に入ったのは斜め45度で設置されたコンソールパネルです。ゲーマーとして「こういうのが欲しかったんだよ」という感じですね。

【コンソールパネル】

武藤氏: ここを語り出すと長いですよ(笑)。

――他にも聞きたいことがあるので、ちょっと短めでお願いしていいですか(笑)。

武藤氏: コンソールパネルって一番触るところですよね。デスクトップPCって、手で触れる部分というのはとても少ないですよね。その中で一番触れるところの質感が一番目に入るところだと思い、とてもこだわったんです。

瀧吉氏: 新ケースは、机の上に置いても下に置いてもアクセスがしやすくて、自分自身との位置の左右を問わないんです。我々の過去のプロダクトは、基本的にコンソールパネルは正面真ん中あたりにあって、これは私の勝手な想像なんですが、デスクの下にあると足の親指で電源を入れる(笑)。

――それは自宅だとやりますね(笑)

瀧吉氏: 社内でも、意図せず靴のつま先があたって電源を切ってしまうとかありました。また、USBポートが水平方向にあると、足を引っ掛けてもげたりとか、改めて考えると、あまりユーザビリティが良くないと思っていました。そこで斜めにしてケースの上部に設置することで、それらの悩みが解消しました。さらにそうしたことで、机の上に置いても下に置いても、その部分が視界に入るわけです。PCを机の足元に置いてUSBポートが真ん中にあると、絶対に「USBポートどこだよ」となります(笑)。まず、そういったことがなくなるようにしたかったんですね。

 では天面にコンソールパネルを置くのが正しいのかといえば、PCを机の上に置いたらポートが見えない。足元に置くと、今度はちょっと低い机だとそもそも挿せない。

 机の上に置いた場合、有線のコントローラーとか、アケコンなどをつないだ時に、ものすごくケーブルに負荷がかかります。斜めにすれば解消できる。しかしここからがまた大変でした。斜めのコンソールパネルってないんですよ。一部の部品が斜めになっているメーカーは存在するんです。ただ、我々は電源も、LEDのインジケーターもUSBポートもオーディオジャックも全部斜め部分に持ってきたかったんです。

――全部斜めにしたら、その分だけ、最初に空間を確保する必要がありますからね。

瀧吉氏: そうなんです。それでここが空洞になって、結果論なんですけど、左右前面が吸気口なんですよ。

――おお、デザインだけじゃないんですね。

瀧吉氏: 正面の吸気口をなくしても、以前のGALLERIAケースと比べて、吸気面積が3倍くらい増えています。側面吸気はGAMEMASTERが最初ですが、側面に吸気口を置くと面積は広くできるという知見がその時からあったんです。GAMEMASTERは片側だけでしたが、今回、コンソールパネルの領域を確保するために、空いた部分を吸気にしちゃえとやってみたら、吸気面積がさらに増えました。

――GAMEMASTERも側面吸気あったのになんで3倍だろうと思ったら、そうかGAMEMASTERは片面だけでしたね。

瀧吉氏: そうです。それが両方に増えたんです。この効果はほかにもあって、例えば机を部屋の隅に置いた場合、PCの片側も壁に付けたりすることは良くあると思うんです。片側吸気ですと、吸気口のある側面を壁につけてしまうと、十分な吸気ができなくてPCが落ちてしまう危険性がありますが、新GALLERIAはそういったことが基本的になくて、片側の空間をあけてくれればどこにでも置いていただけます。

――このコントロールパネルで印象的なのは左右の削り出し加工ですよね。今見てるのはアルミですが、ガンメタも同じ仕様ですか?

瀧吉氏: これは正確には削り出しではなく、アルミのプレスに削りの加工を入れたものです。ガンメタは、プレスになっています。

――このなめらかさも両モデル同じですか?

瀧吉氏: 同じです。

――このこだわりもまた、従来のゲーミングPCにはなかった部分ですよね。別にこれを求めていたわけではないですが、触ってみると「あ、良いな」と思います。

瀧吉氏: 毎日触るところで、人とPCの唯一の接点ですからここはこだわりましたね。ここのサイズ感、面うち感やインジケーターの位置とか。ちょっと見ていただきたいのですが、USBポートにもこだわりがあって、外から折り返しの金具が見えないように工夫しているんです。そういう細部にもこだわっています。

――確かに! 良いですね、これ。

瀧吉氏: デザインというのは、見た目を変えるというよりは、機能全部をひっくるめてデザインだと思うので。

武藤氏: あとは、全体としての使い方をすごく気にしています。たとえば、トップをフラットにしているのも、モノを置けるようにするためなんです。

――でも、トップって排気エリアじゃないんですか?

瀧吉氏: そうなんです。排気もしています。両サイドから吸って、ここから吐いているのですが、コントローラーも置けるんです。この天面は金属をむき出しにしていても良かったのですが、ホコリが落ちるので、フィルターをつけています。実はこの中にメッシュフィルターを一枚かませていて、その下に穴が開いているので、排気口からモノやホコリが落ちても、固定しているネジを外せばそのメッシュフィルターも取れるので掃除や洗うことも簡単にできます。

――モノも置けて、排気もできて、ホコリも落ちなくて、さらに洗えるって最強じゃないですか。

瀧吉氏: 私自身もゲーマーなので、ユーザーの行動は分かっているので(笑)。ケースの使われ方を知っているので、どうしたら便利で使いやすくなるのかと、そこをしっかり考えました。

――そしてLEDですよね。これはどのくらいのタイミングで入れようと決められたんですか。

武藤氏: 驚きましたか?

――eスポーツのサードウェーブであり、GALLERIAですから、残念ながら私は驚きませんでした。そろそろか、ぐらいの感じではありましたね。

瀧吉氏: eスポーツが流行りだしたころから、「光らせろ」というお達しが多方面から私のところに入ってきたんです。「eスポーツ=光る」というイメージが一般的にあるんでしょうね。

――そのお達しはおもしろいですね。「光らせろ」(笑)。

瀧吉氏: たとえば、イベントのステージ上でPCを光らせるということはたくさんやってきました。「同じPCを売って欲しい」という声をたくさんいただくのですが、LEDの追加パーツは安くないんです。光らせるのはパソコンの基本機能ではないので、PC本体の価格も上がってしまいます。

――仰るとおりですね。未だに「ゲーミング=光る=ゲーマー喜ぶ」の図式で考えている人がいて、昔の学生が学ランの裏地に刺繍を入れるような、そういう“粋”の次元の話であって、光るからどうこうじゃないよといつもスタッフに言っています。

瀧吉氏: でも皆さんがそれを望むのであれば、価格を上げずになんとか組み込みたいと思いました。それでどうやって光らせたらいいんだろうということで、外部のデザイナーとの協議の中で、「光るということをデザインとして取り込みたいです」、という話をしたんです。その時に、フチを光らせるのはどうでしょうと。実際にやってみると、デザイン的にものすごくきれいでした。

 出荷状態は、青で固定して出しますけど、追って買っていただいた方にもインストールしてもらえるように、ASUSさんとASRockさんに協力いただいて、それぞれのRGBのコントロールソフトを後日提供させていただいてそこからきちんと変更できるようになります。

――これはイルミネーションもできますか?

瀧吉氏: できます。RGBのコントロールソフトを後日提供させていただきます。

――続いてケース内部についてですが、いきなりマニアックなところから攻めますが、「リジッドカードサポート」。これ相当良いですね。

瀧吉氏: これが新GALLERIAの縁の下の力持ち的なものなんです。年々大型化するグラフィックスカードを、ケースと一体になって固定する機能です。

 eスポーツのイベント会場とか、ルフス(LFS 池袋 eSports Arena)みたいなゲーマーが多く集まる場所でヒアリングすると、PCをこのまま移動のためによく持ち上げたりするので、「縦振動が起きている」という声が多く聞かれました。ならば下だけじゃなく上からも押さえないといけないと考え、そのためには2つのアームでカニばさみするしかない。こうすることでグラフィックスカードが完全に固定されて動かなくなります。さらにはマザーボード側に押し込まなければいけないので、下側に実はおさえがもう1個ついています。

【リジッドカードサポート】

――こんな立派な支えははじめてみましたけど、ビデオカードを差し替えるときには、当然丸ごと外さないといけないんですね?

瀧吉氏: そうです。個人ユーザー様向けには現状つけなくても問題ないと思います。大会など、現場で頻繁に移動や輸送を繰り返す環境にあるPCに実装していきます。今後更に大きくて重いグラフィックボードが出てきたら、頻繁に模様替えをされる個人ユーザー様にも必要な装備になりますね(笑)。

――続いて、14cmのファンですが、またデカいのを付けましたね。

武藤氏: これは数字でわかりやすいですね。

――言い方があまりよくないかもしれないですが、14cmともなると“趣味の世界”ですよね。多分社内で「いるの?」とそういった議論があったと思いますが。

瀧吉氏: まあ、そうですね(笑)。議論するまでもなく、欲しいから、いっちゃえと(苦笑)。今後、PCの中をいじっていくユーザーさんは減っていくと思っています。12cmと14cmのファンの違いをアツく語れる人というのは、どんどん減っていくと思います。

 ですから、今まではオプションだったような価値を持ったものを最初から入れるべきだと。これはもうよそがやっているかどうか、スタンダードかどうかではなくて、「必要だからつけました」と。

――今、御社で扱っているPCのケースに14cmファンを採用したものはないですよね?

瀧吉氏: 14cm標準はないです。

――でも、新GALLERIAではそれが標準になると?

瀧吉氏: 標準になります。ユーザーさんが直接得られるメリットはそんなに多くはないかもしれませんが、確実にいえるのは、風量を稼いだ状態で、回転数は確実に落とせます。毎日ゲームをしていれば、静音性というのは気になるところではあると思うので、全体的なところでメリットを感じてもらえるであろうと思っています。

――ケースについてはBTOでどの程度カスタマイズできますか?

瀧吉氏: サイドのアクリルパネルは標準です。オプションではありません。今までのGALLERIAケースでも、アクリルオプションがあって、非常に好評で標準にしちゃえと。

――ほー、「アクリルパネルなし」っていう選択肢がないんですね。

【アクリルパネル】

瀧吉氏: ないですね。逆にそういう要望があったら、作ろうかなというくらいです。

――聞けば聞くほど、このケースの良さがわかりますが、GALLERIAユーザーとしては、どれくらい高くなるのか気になりますが、これさすがに今と同じというわけにはいかないですよね?

武藤氏: ちょっとしたスペックの変更はあります、実際問題として。ただ価格レンジで同じスペックで見た場合、価格設定は変わらないです。

――それは凄いですが、どうやったんですか?

武藤氏: そうですね、わかりやすく言えば「さよならハードディスク」です。

――おお(笑)。それで削れるものですか?

瀧吉氏: たいして削れないです(笑)。正直、自作部品の市場からハードディスクの単価が、それほど高くないということはご存知だとは思いますが、逆にいうとそういう所を削るまで削って価格を上げないようにしました。

 今のユーザーさんが、「ハードディスクがあったら便利だ」という使い方をしてくださっているのは、重々承知しているのですが、どこを削るかといったらそこだろうと。実際メディアはSSD/SSDが当たり前になりつつあります。元々我々は国内のゲーミングPCとしては、かなり早期のタイミングで大容量SSDの導入に踏み切っています。

――GALLERIAからついにHDDがなくなったんですね。

武藤氏: でも逆につけることもできますよ(笑)。光学ドライブの考え方と基本的には同じです。

eスポーツについて

――そしてもう1つだけ、新GALLERIAについてどうしても伺っておきたいのはeスポーツです。新GALLERIAにおけるeスポーツとの関わりはどのようになりますか。

武藤氏: 基本的には、今GAMEMASTERがやっている部分をそのまま踏襲していきます。基本的には何も変わりません。

――eスポーツ向けのこだわりは何かありますか?

瀧吉氏: 2つあります。1つ目はやはりリジッドカードサポートですね。eスポーツ大会の会場では、ほぼ必須の機能だと考えています。会場で頻繁に行われる移動運搬。その際の振動が原因で発生する不具合により競技中にPCが止まってしまうのが最悪のケースです。それを起こさないために、リジッドカードサポートが生まれました。

――これ、現場は絶対嬉しいですよね。やっと俺の声を聞いてくれたと思うでしょうね(笑)。

瀧吉氏: 脱落パターンを研究し、それを防ぐために全方向から留めることを担当がすごく悩んで作ったんです。

 2つ目は持ちやすさです。現場から「持ち運ぶのに便利なので取っ手をつけてほしい」という声もありました。でもこのデザインに取っ手はありえないので、発想を変えたんです。ケースの下部が丸くなっていて、スッと持てるんです。かつてないくらいに普通に持ち上がるんです。

(実際に持って見る)

――あ、確かに、これ持ちやすいですね。フロントパネルの下部の空間が手を入れるのにちょうど良い。これは確かに良い! まさにeスポーツ向けの機能ですね。

武藤氏: まさに現場の声です。自宅で使われているゲーマーさんにも掃除などの時、とても便利ですよ(笑)。

――サードウェーブさんは、支援されているeスポーツアスリートがたくさんいらっしゃいますが、新GALLERIAに刷新されるにあたり、彼らアスリートへの支援は継続されるのでしょうか?

武藤氏: もちろんです。こちらの新GALLERIAを提供させていただきます。

瀧吉氏: 我々が支援しているアスリートの中の何人かは、これをすでに触っています。

――eスポーツに関しても、今後も変わらず、積極的に取り組まれていくという理解でいいですか?

武藤氏: はい、それに関する考え方とか取り組みに対する姿勢は、今までと変わりませんし、さらにパワーアップします。

発表会で正式発表されたGALLERIA SQUAD。ケインコスギさんやRascal Jester、DeToNaTorなど、これまでのパートナーが名を連ねている

――いろいろなPCケースを見てきましたが、今までで一番良いですね。大量生産される汎用のケースで、このクオリティは率直に言ってすごいと思います。

瀧吉氏: ありがとうございます。

――最後にゲームファンに向けて是非メッセージを一言ずつ、おひとりずつお願いいたします。

瀧吉氏: 今後、トップキーワードになってくるのは“PCゲームを日常にしよう”です。スマホゲームは日常になってきています。コンソールゲームはその次で、PCゲームはまだ日常になってきていません。あえてすべてのゲーマーに向けていうのであればPCゲームというものをもっと知ってもらう、プレイしてもらうきっかけにGALLERIAを使ってもらえたらと思います。このGALLERIAは製品としてだけではなくて、今後のGALLERIAの活動そのものが、すべてのゲーマーにつながるようにと考えています。

武藤氏: 新GALLERIAは、ゲーマーにとって“相棒”という存在になりたいと思っています。ここでいう相棒は、サイドキックです。シャーロックホームズでいうところこのワトソン、つまり“ヒーローを助ける役割”のポジションです。

 ゲームをする人、作る人、それを仕事にする人など、ゲームに携わる人は実に多くいます。その中で我々はゲームユーザーの方に一番近いスタンスでいたいと思います。ゲームの世界って楽しいんだよ、一緒に楽しみたい、そしてこれを拡げていきたいという思いがあります。ゲームの世界に、飛び込むきっかけが、GALLERIAであってくれたら嬉しいし、多くの方のゲームライフにおいて“一生の相棒”になれたら素晴らしいなと思っています。

――ありがとうございました。



著者: " -- game.watch.impress.co.jp "

Related Articles

リアルタイムバトル将棋のイベント「魁!eスポーツ塾...

<以下,メーカー発表文の内容をその...

#5【原神】PS4新作!基本プレイ無料 オープンワ...

リセマラなし。無課金でのんびり配信。 チャンネ...