2年8カ月で500万台も売り上げたiMacが倒産寸前だったAppleを救うまで –


by Marcin Wichary

Appleの共同設立者で2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏は、自身が設立したAppleから一度追い出され、その後Appleに復帰したという経歴があります。そんなジョブズ氏が復帰して最初に発表されたiMacは500万台も売れた大ヒットマシンとなりました。Apple関連のニュースを扱うサイト・appleiniderが、3年足らずで500万台も売れるまでの経緯を解説しています。

How Apple went from bust to five million colorful iMacs sold
https://appleinsider.com/articles/20/04/19/how-apple-went-from-bust-to-five-million-colorful-imacs-sold

1998年8月15日にアメリカで、8月29日にヨーロッパと日本で発売されたiMacはかつてMacintoshでもリリースされていた「ディスプレイ内蔵のオールインワンマシン」で、丸っこいデザイン・カラフルなスケルトンボディ・マシンに詳しくない人でも簡単にセットアップできる扱いやすさなど、それまでのAppleの製品とは一線を画したモデルでした。appleinsiderは「Appleがこれまでに作った最も重要なコンピューターはApple IIでした。Macintoshは世界を変えるものでした。しかし最高だったのはiMacでした」と、iMacを高く評価しています。

by Hanul

そんなiMacを発表するジョブズ氏のプレゼンテーションを以下のムービーで見ることができます。ジョブズ氏はAppleの業績と、既に発表済みだったPowerBook G3を紹介し、その流れで「家庭用のデスクトップマシンがまだ存在していない」として、およそ16分頃からiMacのコンセプトと実機を紹介しています。なお、iPodやiPhone、iPadに先立って「i」を冠したApple製品はこのiMacが最初であり、「internet(インターネット)」「individual(個人)」「instruct(教える)」「inform(情報を与える)」「inspire(刺激する)」を象徴するものと説明されています。

Steve Jobs introduces the iMac – 1998 – YouTube

プレゼンテーションの中で、ジョブズ氏は最初にAppleの業績と財政について4分ほど語り、「Appleの経営陣が新しくなってから10カ月になります。みんな一生懸命働いていて、夜や週末でも駐車場にたくさんの車が止まっています。そして彼らの懸命な努力のおかげで、Appleが軌道に戻ったことを本日皆様にお伝えできて、本当にうれしく思います」とコメントしました。

appleinsiderは「この前半部分によって、『Appleが倒産寸前だった頃から一新され、完全に新しい道を歩もうとしている』というイメージをジョブズ氏が聴衆に示しました」と指摘し、「ジョブズ氏はいつものようにマシンを褒めたたえ、『すべてのコンピューターは常にこのようであるべきなのに、いまだにAppleしかこれを作ることができていない』ということを魅力的に、かつ当然であるかのように語っています」と評価しています。

iMac発売前日に行われたジョブス氏へのテレビインタビューの映像が以下。「Appleは需要に応えられるのに十分な量のiMacを準備していますか?」と尋ねられたジョブズ氏は、「わかりません。私たちはiMacをたくさん製造していますが、明日になれば本当の需要が何なのかを知ることになるでしょう。需要は…………供給を大きく超えるかもしれません」と答えています。

Steve Jobs TV interview about iMac launch (1998) – YouTube

従来のPCから大きくかけ離れた先進的なデザインや低価格に、酷評するアナリストも一部存在しました。しかし、発売されるとiMacの売れ行きはすさまじく、たった1年で売上台数が100万台を突破しました。たとえば、USBの普及が急激に進んだのは、シリアルポートやSCSIなどの端子をすべてなくしてUSBのみに統一した初代iMacの大ヒットを受けて、多くの周辺機器メーカーがこぞってUSB接続のプリンターやキーボードをリリースしたことが一因といわれています。

by lergik

広告代理店でiMacのプロモーションに携わっていたケン・セガール氏は、「iMacの販売台数が100万台を超えようとしたタイミングで、ジョブズ氏は『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ウォンカのまねをしようとしました」と証言しています。

ジョブズ氏は、「このiMacは記念すべき100万台目です」と書かれた金色に光る証明書を1枚だけ用意し、iMacの箱に封入するアイデアを考案しました。その証明書をゲットした人は、購入価格が払い戻され、カリフォルニア州クパチーノにあるApple本社に招かれ、家族と一緒にApple本社を見学できるツアーが組まれるという計画だったとのこと。ジョブズ氏も「チャーリーとチョコレート工場」に出てくるウィリー・ウォンカの格好をしてゲスト出迎えようと考えていたそうです。ただし、このアイデアはカリフォルニア州の懸賞に関する規制にひっかかってしまったために実現しませんでした。

by Mraz Center for the Performing Arts

発売から2年と8カ月4日が経過した2001年4月19日に、iMacの売上台数は500万台に到達しました。これは1.183秒ごとにiMacが1台売れた計算になります。iMacが大ヒットしたおかげで、経営破綻寸前だったAppleは息を吹き返すことができました。500万台を達成したとき、Appleはひっそりとプレスリリースを発表。ジョブス氏は「簡単に言えば、iMacは消費者および教育用コンピュータを再定義し、USB、FireWire、デスクトップムービー、ワイヤレスネットワーク、静かなファンレス動作、およびワールドクラスのデザインを含むいくつかの業界初を先導しました。数年後に1000万台目のiMacを出荷できることを楽しみにしています」とコメントしています。

Apple Ships 5 Millionth iMac – Apple
https://www.apple.com/newsroom/2001/04/19Apple-Ships-5-Millionth-iMac/


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著者: ” — gigazine.net

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