ITジャーナリスト・林信行とAppleのノートパソコン史を振り返る。 | News | Pen Online

アップルが携帯性を重視した「ノート型パソコン」というジャンルに挑んだ初めての製品、PowerBook 100。フロッピーディスクドライブを別売、外付けとすることで携帯性を向上させた。同時発売のPowerBook 140/170と共に、キーボードを奥に配置し、手前にカーソル操作の装置を置くスタイルを初めて採用した。photo by Danamania

キーボードとトラックボールのレイアウトを決めた傑作。

Macintosh Portableがリリースされた89年には、東芝がDynaBook J-3100 SS001を発売。そのコンパクトなボディで、ノートパソコンの市場を切り開く。そして90年代に入ると、技術革新によりプロセッサーなどのパーツも縮小化が進み、91年にはアップルからまさしく“膝に乗せる”ことが出来るラップトップ型パソコン、後に15年もの長きに渡りシリーズ化が続いたMacintosh PowerBookがリリースされたのだった。

このモデルがイノベーティブだったのは、トラックボールの位置にほかならない。この配置には社内でも大いに議論が交わされたようだが、その結果得られたのが、キーボードを奥にしてトラックボールを手前のセンターに配置するという大発明であった。この案がいかに革新的であったのか。それは、PowerBookシリーズ以降のあらゆるノートパソコンがその配置スタイルを採用したことからも、十分におわかりいただけることだろう。

なお、Macintosh PowerBookには100、140、170の3モデルが存在していたが、唯一100だけがフロッピーディスク・ドライブを内蔵せず、専用の外付けドライブが用意された、まさにモバイルを意識した軽量モデルであった。

BOBW(Best of Both World)、つまりデスクトップとノート型の良いところ取りという社内コード名で開発されたPowerBook Duoは、キーボード薄型化やトラックボールの小型化に加え周辺機器接続口も廃止してさらなる薄型化を実現。背面に用意されたドッキングポートにドックと言われる装置を合体させ、そこから周辺機器をつないだり、Duo Dockと呼ばれるデスクトップ型の本体に挿入してデスクトップパソコンとして使うことができた。

外出先とオフィスで同じ機体を使うスタイルを実現。

革新的といえば、92年にリリースされたPowerBook DUOは、PowerBookのなかでも革新性に富んだモデルであった。というのも、二重奏から派生し、対やペアを意味するDuo(デュオ)の名前とおり、ノートパソコン単独で使えるのはもちろん、ディスプレイやフルサイズのキーボードを備えたドックに接続することで、デスクトップマシンとしても使うことができたのだ。

オフィスや自宅ではデスクトップとして、外出先ではノートブックとして活用するスタイルを提示したことはもちろん、なにより感動したのは、ノートブックをドックに差し込むと、あたかもVHSテープのように吸い込まれるその仕様。大げさにいえば、それはあたかも宇宙船が母艦とドッキングするような、未来のイメージを抱かせたのである。

94年にはPowerBook 500シリーズが出て、ポインティングデバイスがトラックボールから現代に通じるトラックパッドに変化。さらなる薄型化を可能にした。96年登場のPowerBook 1400では、大量生産のノート型パソコンで個性を演出する工夫を取り入れたりもしていた。

PowerBook 1400ではBook Coverといって外装の半分に好きなテキスタイルなどを挟んで外観をカスタマイズできるようにしていた。

外装をカスタマイズし、自分だけの個性を出す。

クリエイティブ業界をはじめ多くの人がPowerBookを持つことで、Apple社内で上がったのが、「みんなが同じ物を持ち歩くことが、本当に良いことなのだろうか」という疑問だった。そんな葛藤から同機に宿されたのが、外観をカスタマイズできるBookCoverコンセプトという手段であった。

これは天板部に好みの模様や柄のシートを差し込める仕様で、ユーザーが好みの絵柄をプリントアウトもしくは自作したシートでパーソナライズできるというもの。私の周囲のユーザーも、レザー風シートやアート作品をプリントしたシートでカスタマイズを楽しんでいた記憶がある。

翌97年にはPowerBook 3400という、デスクトップの性能にも匹敵するハイエンドマシンがリリースされたが、これが72万円から104万円と超高額。しかも、持ち運びには適さない重量だったことから、日本支社からは「こんなに重いノートブックを持って、日本の満員電車は乗れない!」という顧客の声が報告される。そこで当時のCEO、ギル・アメリオが日本市場向けに作らせ、同年にリリースしたのがPowerBook 2400cである。

実はこのモデルは、日本IBMが設計し、同社の大和工場で製造されたもの。当時、日本IBMが製造、販売していたThinkPad535と設計やパーツを共有していたことから、そのサイズ感などが非常によく似ていた。ただし、Appleのデザイン監修の下つくられていただけあり、使われているネジの本数が劇的に少なくなっていたり、製品を持った時の重量バランスまで考えてバッテリーが配置されていたりと後にIBMの関係者も学ぶことが多かったと語っている。



著者: ” — www.pen-online.jp

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