単なるノスタルジアの枠に収めるのは勿体ない! 今年最高に格好良いゲーム『トニー・ホーク プロスケーター 1+2』 | ニコニコニュース

 9月初旬、次は何のゲームをやろうかと考えていたところ、あるタイトルが目に留まった。1999年発売の『トニーホーク プロスケーター』、そして2000年発売の『トニーホーク プロスケーター 2』両作のリメイクとなる『トニーホーク プロスケーター 1+2』(Playstation 4Xbox One、PC対応)である。発売元はActivision、開発を担当したのはこれまで『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!』などを手掛け、移植やリメイクを得意としてきたVicarious Visionsだ。

(参考:高齢者の孤立問題解決にゲームが有効? アメリカで実証実験開始へ

 『トニーホーク プロスケーター』シリーズについては、名前だけを聞いたことがある程度で、これまで実際に遊んだことはなかった。また、スケーターという存在や、ストリート・カルチャーに対して、音楽やファッションなどを通して憧れを抱いてはいたものの、いわゆるスケートボードゲーム自体に強く関心を抱いたこともなかった。だが、北米のメディアを見ていると、ゲームメディアだけではなく音楽やファッションといったカルチャー系のメディアもこぞって本作を取り上げており、それも大絶賛の嵐。メタスコアは本稿執筆時点で89点、ユーザースコアに至っては9.1点という、今年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを余裕で狙えるトップクラスの高評価を獲得していた(2020年09月20日確認。PS4版の数値)。

■画面の向こう側に広がっていく、憧れていたストリート・カルチャーの輝き

 そこで、興味本位で本作(Xbox One版)を購入し、まずはチュートリアルを起動してみた。ボタンを押さずとも勝手に進むボードに一瞬戸惑いながらも、各ボタンの役割を理解し、恐る恐るその通りに操作を進めていく。コントローラーに対するレスポンスはすこぶる良好で、振動のフィードバックも心地良く、慣れない操作で何度も壁にぶつかったり転倒してしまうものの、ストレスを感じる瞬間はほとんどなかった。そして、いくつかの項目に分かれた丁寧なチュートリアルを終えるころには、私は段差を飛び越え、ハーフパイプで540度の回転を決め、空中に飛び上がりながら片手でボードを掴み、階段の手すりの上を軽快に滑り降り、常人離れしたトリックを披露することができるようになっていた。

「こんなに簡単に、快適に、あの格好良いスケーターの動きを再現できるなんて!!」

 この時点で私はすっかり本作に魅了されてしまった。MTVの『jackass』を楽しんだり、ゼロ年代パンクロックヒップホップにのめり込んだり、Vansのスニーカーを好んで履いていた学生時代を筆頭に、自分の中にあるストリート・カルチャーへの強い憧れが次々と刺激されていくのを感じ、本作が大絶賛される理由をすぐに理解することができた。

■極めてシンプルで、一切の無駄が存在しない完璧なゲーム
 『トニーホーク プロスケーター 1+2』は、次世代機の話題やAAAタイトル、大規模なマルチプレイがひしめく現代のゲームシーンにおいて、驚くほどシンプルゲームである。基本的な本作の進め方はこうだ。メインモードである「スケートツアー」を開くと、最初は1つ目のステージである「Warehouse」だけを選択することができる。ステージには2分間の制限時間が設けられており、トリックを披露したり、トリック同士のコンボを繋いでいくとスコアが加算され、制限時間になるとプレイが終了してハイスコアが記録される。ステージにはいくつかの目標(ステージ中二配置された特定のオブジェクトを集める、特定の場所でトリックを決める、所定のスコアを達成するなど)が定められており、何回かプレイを重ねて指定の数の目標を達成すれば、次のステージがアンロックされる。いくつかのステージは大会形式となっており、この場合は目標を達成する代わりに1分間のセットを3回披露し、そこで高得点を記録して上位3位以内に入れば次のステージがアンロックされる。この、「2分間の目標への挑戦」と「1分間×3セットの大会への挑戦」を最終的には17のステージ(+α)で楽しむことができる。基本的にはこれが「スケートツアーモードの全てである。

 ゲームを貫くストーリーは一切なく、カットシーンも全く存在しない。スケートで何か別のミッションに挑戦するといったミニゲームもなく、マップ内に設定資料が配置されていることもない。だが、物足りないと感じる瞬間は一切ない。各ステージを探索し、マップの配置を見ながら「ここからジャンプすれば、あの場所まで届くんじゃないか」、「ここならコンボを決められるんじゃないか」と考え、挑戦し、時には失敗しながら試行錯誤を繰り返していく。そして、遂に思った通りのプレイが決まる! 最初は無理だと思っていたハイスコアに手が届く! この瞬間が最高に楽しいし、ほかに必要な要素なんて存在しないのである。興味のない物語を描いた映像を見たり、大して魅力的ではない本筋以外のことをするような無駄な時間なんていらない。とにかく格好良いスケートを披露したい、ゲームに没頭したいのだ。本作は完璧にそれを実現している。

 また、本作は「スケートツアーモードクリアして終わるわけではない。むしろ始まりといっても良いだろう。モードクリアするころには、数々の目標を通して、必然的に各ステージの構造を把握し、どこでも自分の思い通りにプレイすることができるようになっているはずだ。その先に待っているのは、本ゲームのコアであり、エンドコンテンツでもある「ハイスコアコンボの限界への挑戦」である。各ステージに設けられた世界中の全プレイヤーランキングを元に、上位を目指す戦いが始まるのだ。

 チュートリアルを終えるころには誰もが簡単にスーパープレイを連発することができるほどの敷居の低さが本作の魅力だが、一方で、本作は極めようと思えばどこまででも極めることができる奥深さも兼ね備えている。本当に高い点数を取るためには、ステージの構造を完璧に把握し、道筋を描き、正確な操作を繋いでいく必要がある。ステージクリアの目標は高くても25万点程度だが、本当に上手いプレイヤーはなんと数千万点レベルスコアを叩き出してしまうのだ。勿論、それは気が遠くなるような領域ではある。だが、プレイするうちに昨日よりも格好良いプレイを披露することができるようになるのが本作である。ただ練習するだけでも楽しいので、トップを目指さなくとも、長く遊び続けることができるはずだ。また、慣れるのに時間がかかるという人でも、本作では、例えば一切転倒しないといったアシスト機能を使うこともできるので、そこから練習を始めるというのもいいだろう。

 さて、肝心のプレイアブルキャラクタートニーホークを筆頭に、チャド・マスカやアンドリュー・レイノルズといった原作収録のレジェンドたちは勿論のこと、リジー・アーマントや西村碧莉といった現代のトップケーターたちも追加で参戦しており、その数は20名を超える。それも、ただ見た目を再現するだけではなく、各スケーターに合わせてジャンプ力やバランスといったパラメーターが個別に調整されており、得意とするトリックもちゃんと紐付けられている(ゲームを進めていけば各設定の調整も可能)。服装とボードについても、本人を再現した複数のパターンが用意されている。さらに、キャラメイク機能を使った自作のオリジナルキャラクターまで作ることができるし、その服装やボードゲーム内ストアで購入したアイテムで自分好みに調整することが可能だ(ゲーム内通貨を使うため、課金要素は無し)。憧れのプロスケーターになりきってプレイすることも、徹底的に自分好みのスケーターを作り上げてプレイすることもできる。前述の通り、本作には無駄な要素は一切ないが、欲しいと思う機能はしっかりと用意されているのだ。

■過去から現代までのストリートクラシックが凝縮された最高のサントラ
 本作の素晴らしさを語る上で欠かせないのがサウンドトラックである。そもそも本作が実際のプロスケーターの面々が登場したスケート・カルチャーを体現するものであることを踏まえると、もはや音楽は最重要項目であるといって良いだろう。そこには絶対に大きなラジカセかポータブルスピーカーが必要がなければならないし、ロックヒップホップが鳴っていなければならないのだから。というわけで、本作のサウンドトラックにはGoldfinger “Superman”やDead Kennedys “Police Truck”、Rage Against The Machine “Guerrilla Radio”といった原作に収録されていたクラシックの数々がほぼ全曲、再収録されており、1999年2000年当時のストリート・カルチャーの空気を見事に蘇らせている。

 さらに嬉しいのは、それらに加えてA Tribe Called Quest “Can I Kick It?”やSublimeSame In The End”などの原作未収録だったストリートクラシックが多数追加されているということ。そして何より、Skepta “Shutdown”やMachine Gun Kelly “bloody valentine”といった今のストリート・カルチャーを作り上げているミュージシャンたちの楽曲が多数収録されているということである。これもまた、本作を単なるノスタルジアで終わらせない、現代のゲームとして楽しむことができる要因の一つである。

 これらの当時から現代に至るまでストリートを彩ってきた楽曲の数々が、プレイ中はおろか、メニュー画面だろうと、ポーズ中だろうと、たとえロード画面だろうと、一切止まることなく再生され続けるのだ。しかも気に入らない楽曲があればいつでもワンボタンでスキップできるし、好きな曲だけをまとめたプレイリストにすることだってできる。心ゆくまで最高に格好良い楽曲に浸りながら、延々とスケートに没頭することができるのである。これが楽しくないわけないだろう。

 そもそも、既存の楽曲を取り入れたサウンドトラックを作る場合はライセンスの取得が最大の難関となる。にも関わらずここまで見事なサウンドトラックが完成しているということは、アーティスト側からの本作への信頼の表れであるともいえるだろう。だからこそ、ゲーム好きだけではなく、音楽好きにも本作を是非プレイしていただきたいと強く思う。

■実際のストリート・カルチャーにも影響を与えてきた『トニーホーク
 さて、現時点で筆者は当面の目的だった「スケートツアーモード100%クリアし、メインキャラクターとして使っていたトニーホークの強化も最大まで完了済みだ。ゲーム側が用意している一旦の流れは完了したといって良いだろう。しかし、アンロックしていない隠し要素もあるし、世界中のプレイヤースコアを競い合うマルチプレイヤーモードもあるし、自分でステージを作ったり他の人が作ったステージを遊べるモードも存在していて、いくらでも遊び続けることができる。

 そして、何よりここまで触っていて楽しい、もっと上手くなりたいと思えるゲームはなかなか存在しない。というわけで今でも毎日のように本作を起動しては、ニューヨークストリートや学校でスケートを楽しんでいる。また、本作に登場するスケーターにも改めて興味を抱き、『X GAMES』などの実際のスケートの映像を見て楽しむようにもなった。もしかしたら、実際にボードを購入してしまう日もそう遠くはないかもしれない。そして、本作のファンコミュニティを覗いてみると、原作をプレイしていた人々の多くが、当時、私と同じような行動に至っていたと語っている。それくらい、本作にはストリート・カルチャーの格好良いところがふんだんに詰まっているし、だからこそ大きな影響力を持っていたのだろう。本作を単なる「リマスター=当時のファンノスタルジアに浸るためのもの」という枠に入れて片付けてしまうのはあまりにも勿体ない。2020年においてトップクラス面白い、そして最高に格好良いゲームがここにある。

(ノイ村)

『トニー・ホーク プロスケーター 1+2』

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