Valveのほかパブリッシャ5社,欧州経済領域での独禁法違反により,EUから総額約10億円の罰金を科される


 欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(EC)は2021年1月20日,デジタル配信サービス「Steam」を運営するValveとバンダイナムコエンターテインメント,カプコン,Focus Home Interactive,Koch Media,そしてZeniMax Mediaの各社に対し,独占禁止法に違反したとして総額780万ユーロ(約9億7975万円)の罰金を科したことを明らかにした

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 これは,欧州経済領域(European Economic Area/EU加盟国ではないが,EUの経済範囲に指定された地域)である,チェコ,ポーランド,ハンガリー,ルーマニア,スロヴァキア,エストニア,ラトヴィア,リトアニアで購入したSteamキーが,少なくとも2010年9月から2015年10月の間,国境を超えたほかの地域で利用できない,いわゆる「ジオブロッキング」(geo-blocking)が違法と見なされたもの。ジオブロッキングは,欧州連合の機能を定めた条約「Treaty on the Functioning of the European Union」の第101条,および欧州経済領域についての取り決めを定めた「Agreement on the European Economic Area」の第53条に違反したという。EUは,2015年5月に「EUデジタル単一市場」という新たな枠組みを設定し,デジタル市場の統合を図っている。

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 独占禁止法違反については2017年2月からECの調査が進められており,対象となったパブリッシャ5社については,スポーツ,アクション,シミュレーションなど約100作のPCゲームタイトルを,Valveに要請してジオブロッキングしていたという。2019年4月〜5月にECが異議告知書を各社に送ったところ,5社は調査協力に応じたため,罰金の10〜15%減額が行われたが,Valveは調査協力を拒否したため,ジオブロッキングによる直接的な利益を得ていないにも関わらず,162万4000ドル(約2億200万円)の罰金を科す判断が下された。

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 パブリッシャがジオブロッキングを行う理由としては,特定の地域での販売・流通について提携したローカル企業との利益配分を明確にするためであったり,購買力の低い地域では同じゲームを廉価で販売したりする,ゲーム業界の慣例や仕組みが理由になっていると思われる。Steamに限らず,普通に手に入れたパッケージソフトやモバイルアプリでも,国境を越えると利用できないという不便を経験した人は,日本でも少なくないかもしれない。

 確認した限り,原稿執筆時点でValveを含めて罰金の対象となった各メーカーは,今回の措置に対して公式声明は出していないようだ。「EUデジタル単一市場」を掲げるEUの判断は,ゲーム業界に大きな影響を与えるだろう。

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