【月間総括】年末,そして次世代に向けた各ハード陣営の動きを見る –

 今月は,ゲームプラットフォームホルダー各社の動きについていくつかの話題に触れたい。

【月間総括】年末,そして次世代に向けた各ハード陣営の動きを見る

 まず,なんといっても大きな話題は,MicrosoftによるZenimax Media(Bethesdaなどの親会社)買収だろう。
 Microsoftのゲーム事業はコンテンツサービスの売上高が4-6月で13億ドル(約1360億円)と,ソニーや任天堂よりも小さい。また,全世界(とくに日本)で成功しているとは言い難く,大きな利益を上げていないと考えられるので,75億ドルもの巨額な買収を実施するとは思っていなかった。FalloutやThe Elder Scrollsなど有力ソフトを持つ同社の買収は正直驚きであった。Microsoftは,サブスクリプションモデルを全社で進めおり,ゲームビジネスでも,これを拡大するために有力なコンテンツの確保を進めているのではないかと考えている。

 読者におかれては,Bethesdaのタイトルが今後PlayStationシリーズで発売されるのかが気になるところだろう。現時点でのMicrosoftの見解は,買収前に契約した一定期間PS5先行配信のタイトルはそのまま発売,今後のタイトルはゲースバイケースだとしており,直ちにMicrosoft独占ということはなさそうである。ただ,これは,ソニーにとっては困ったことであることは確かだろう。仮にPSシリーズへの供給が継続され,Bethesdaのタイトルが売れれば,Microsoftの収益を拡大させることにつながってしまう。逆に,XBOX独占になってしまうと,有力なコンテンツを失ってしまうことにつながるからだ。
 エース経済研究所では,ソフトがハード販売に与える影響は大きくないとの立場だが,ソニーはそうではない。サードパーティのAAAタイトルこそが,ゲーム機販売のキーだと考えているようなので,困ったことだと言ったのである。

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 次に,PS5の価格と発売日が発表された。発売日は日米が11月12日で,価格については通常版が4万9980円と手前味噌ながら予想どおりであった。米国では緩やかなインフレ傾向があり,2000年ごろよりも購買可能なレンジが上がっていると見ており,高性能な半導体を使うPS5ではコストアップが避けられないと考えていたからである。
 デジタルエディションは3万9980円と想定よりもやや安かった。Xbox Series Sが299ドルとなったことが影響したと思われる(Series Sは日本は3万2980円から2万9980円に改定)。
 Xbox Series XとXbox Series Sは,2機種で内部の仕様がかなり違うのに対して,PS5は単純にドライブの有無だけである。つまり,1つのアーキテクチャで2つのXbox Seriesと戦わなければならなくなったことが価格設定に影響したと見ている。

 エース経済研究所では,採算については,通常版はほぼコストと同じレンジ,デジタルエディションは光学ドライブがないことを考慮しても逆ザヤだと見ているが,デジタルエディションの出荷数が少ないという報道が見られるので,全体では均衡できる範囲内だと考えている。
 なお,Amazonなどで高額の販売(転売)が行われているとの報道があるが,ソニーが増産に努めていることや日本では後述の理由で需要はそれほど高くないと思っているので,早期に需給は均衡すると考えている。読者におかれては,どうか慌てないでいただきたいと思う。

 話を戻そう。サイズも発表されたが,縦置きした場合のサイズは高さが39cmと予想どおり巨大であった。ここでは何度も,大きさが販売に影響する可能性を指摘してきたが,ソニー側は大きさが影響することはないとコメントしているので,問題ないのであろう。
 また,SIE CEOのJim Ryan氏は,価格のためにスペックを犠牲にしたゲーム機は幸せになれないとコメントしているので,巨大にしてでも高性能にする必要があるということだろう。
 この「幸せになれない」の真意は不明だが,少なくとも販売に相関性はなさそうである。再掲になるが,グラフを見ていただこう。

●発売から250週の国内実売推移

(出所)ファミ通
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 どうだろうか? ここ20年では,性能が低いと言われたDS,3DS,Wiiの販売が好調だった一方,同世代で高性能だったPSPはそれなりに健闘したが,DSを大幅に下回り,PS3は低調だった。このグラフにはないが,高性能を追求したニンテンドー64,ゲームキューブ,PS Vitaは揃って販売不振だった。同世代比較で性能が明確に下とされていて販売不振なのはWii Uしかない。これでは性能でゲーム機が売れるとはとても言えない。性能でゲーム機が売れるならビジネスは簡単になってしまう。長くゲーム業界を見てきたが,当たり外れを予測することは非常に難しい。ハイスペックにすれば売れるという単純な市場にはとても見えないのである。

●発売から14四半期累計の販売(着荷)台数推移

(出所)決算資料よりエース経済研究所
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 ここで最新のデータが揃ったのでグラフを再掲する。SwitchとPS4の発売から14四半期累計の販売(着荷)台数をプロットしたものだが,演算能力では大きく下回るはずのSwitchがPS4よりも同一期間の販売台数は多い。
 PS4の地域別の開示がないため分かりにくいが,日本だけでPS4とSwitchには同時期の実売に900万台近い差があるため,日本での販売の成否がこの差を生み出していると推測している。

 逆にいうと,PS4は日本だけが極端な不振なのである。スマートフォンゲームの拡大による家庭用ゲーム機の縮小が要因だと思われていたが,Switchの成功でそれも否定されている。海外と国内でPS4の仕様に差もない。となると,考えられるのはプレイスタイルではないかと思うのである。
 内閣府総務省の資料を見ても,2010年代には,29歳以下のテレビ世帯普及率が顕著に低下している。傾向からの推測でしかないが,社会人として独立するときにテレビを買わない人は,結婚しない限り,テレビは購買されないように見える。しかも,49歳以下の単身世帯の普及率は2020年にさらに低下した。世帯数はまだ減ってはいないものの,若年人口が減っていることを考えるとテレビを持たないゲーム世代の増加は,将来にわたる不安要素である。

●単身世帯の29歳以下,30代,40代のテレビ普及率

(出所)内閣府資料よりエース経済研究所
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 据え置きゲーム機はテレビにゲーム機をつないで1人で遊ぶというプレイスタイルであるが残念ながら陳腐化していると言わざるを得ない。世界的にも電子機器は小型でモニター付きの機器が普及する方向に向かっている。今や,スマートフォンやタブレットだけでなく,掃除機や炊飯機などの白物家電にもモニターが付いている時代なのである。ゲーム機もモニターレスが陳腐化するのはやむを得ないということなのだろう。

 日本市場は決算データを見る限り,潜在的にハード販売2000万台以上が十分に狙える市場である。これを見捨てるのは問題だと,エース経済研究所は考えており,これまでも提言を行ってきた。しかし,ソニーの対応を見る限り,萌えが主流でフォトリアルが受け入れられない市場に対して非常に冷淡に見える。
 私の意見が常識的ではないことは重々承知しているが,この2つのグラフからは性能よりもデザインやプレイスタイルのほうが販売に大きな影響があるように見える。
 白くて丸く,かつ大型のPS5が果たして受け入れられるだろうか? ソニーの努力で,このグラフの傾向が打破されるか楽しみにしたい。

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 最後に任天堂について触れたい。経営方針説明会が行われたが,今回は都合上割愛することとし,Switchの品薄について述べておきたい。5月に品薄は当面続くだろうとしたが,9月に入って極端な品薄はなくなったが,それでも引き続き店頭からは消えている。
 任天堂側とディスカッションした結果,

  1. 5月のテレフォンカンファレンスで説明した部品不足は解消済み
  2. 生産量は大幅に増やしており,第1半期より第2四半期のほうが生産量は増える
  3. 年初に懸念していたDRAMの不足は新型コロナウイルスの影響でスマートフォンの生産量が落ち込んだ結果,調達に問題がなくなった
  4. 第1四半期時点でも空輸を実施しており,今後も状況を見て実施する可能性がある

とのことであった。
 これらの観点から,第2四半期も第1四半期の販売台数568万台を上回る可能性があると見ている。実際,ファミ通のデータを見ても4-6月のセルスルーをすでに7-8月で上回っているので,任天堂が相当な努力を行っていると言っていいだろう。
 生産台数についても,日経新聞が2500万台ブルームバーグが3000万台と報道しているので,年末商戦期にはある程度手に入りやすくなっているはずである。

 新型コロナウイルスは,外出が増えると感染者が増加する傾向があるので,今後もある程度の波を作りながらも家庭内娯楽に対する需要は継続するように思われる。年末商戦期後にはSwitchの販売台数が再び話題になっているのだろう。

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