ビジネス特集 eスポーツが変える!? 社会人の新たなコミュニケーション | NHKニュース



ゴルフにマージャン、そしてお酒…。社内や取引先との円滑なコミュニケーションを築くために使われてきたこれらの手段に、新たなツールが加わろうとしている。(松江放送局記者 三井蕉子)


取引先とeスポーツ

ことし3月、松江市で行われたeスポーツの交流戦。参加したのは金融機関と取引先の卸売業者。両社から社員5人ずつが参加し、いわゆる「格闘系」のゲームでの対戦。

部屋の中央にある大型のスクリーンにゲームの様子が映し出され、技が決まると歓声があがる。

実況解説をする社員の声も、マイクで部屋に響く。

参加した社員の中には、入社1年目の若手もいて、社長や上司が“選手”を激励する姿もあり、その様子はさながらひいきのチームを応援するスポーツ観戦のようだった。

この両社、ふだんから取引関係にあり、ゴルフを行うなどして懇親を深めてきたが、そこにeスポーツが加わったのだ。

主導したのは社長

交流戦を持ちかけたのは、島根県出雲市に本社を置く、社員およそ400人の「山陰パナソニック」。

この会社にeスポーツを持ち込んだのは渡部幸太郎社長(43)。

去年秋、社内に「eスポーツ部」を設立し、ユニフォームや部の横断幕を作るほどの熱の入れようである。

もともとゲーム好きだった渡部社長は、eスポーツであれば、若手の社員も一緒になって気軽に楽しめると考えた。

渡部社長
「ゴルフというと、相手の取引先の社長さんや幹部の方とつながるイメージがあると思うんですけれど、ゲームは入社して1か月の社員からでもつなぐことができます。そうやって仕事の中の現場どうしがつながるというのは有益なことだと考えました」

とはいえ、社員の中には冷ややかな反応もあったという。

渡部社長
「毎年4月に方針発表をするんですけど、そこでボーンっとプロジェクターに映し出しましたら、みんな苦笑いでしたね(笑)“社長、何考えているんだろう” “え、ゲーム?”みたいな」

対戦で相手の性格まで分かる?!

この会社は、島根・鳥取両県の各地に営業拠点があり、ふだん、社員が一堂に会して顔を合わせる機会を持ちにくい。

会社では社員の結束を強めるため、社内運動会を開いたこともあった。

しかし、新型コロナウイルスの影響でこうしたイベントの開催が難しくなる中、オンラインでつながることができるeスポーツで社員どうしの交流を深めようと考えたのだ。

月に2回ほど、仕事を終えた社員たちがそれぞれの営業拠点の会議室に集まってくる。そこで行われているのは、eスポーツの拠点対抗戦だ。

少しずつ浸透し若い社員を中心に15人ほどが参加するようになった。この対抗戦で初めて知り合ったという社員もいる。

対戦を重ねていくうちに、相手の性格がかいま見え、仕事のつきあいだけでは見えない相手のことを知る機会になっている。

この日、社長と社員の間では、こんな会話が。

社員
「同じゲームをすれば相手の性格はなんとなく分かります。話をするより分かりやすいです」

渡部社長
「プレースタイルにもにじみ出るよね。例えば、○○さんはどう?」

社員
「○○さんは堅実に攻めるタイプですね。リスクの少ない技をずっと繰り返すタイプで、相手が弱まってきたところをその隙をねらっていく」

渡部社長
「負けないように、負けないように、っていう感じか」

社員
「そうですね、堅い」

渡部社長
「仕事の際も少し堅いかもね」

ちなみに渡部社長、自分のプレースタイルをこう分析する。

渡部社長
「僕なんかは思いっきりやっちゃう。あまり緻密な作戦を立てるというよりは、前へ前へっていう感じ」

さらに、プレースタイルだけではなく、ゲームのキャラクター選びからも性格が見えてくるという。また、多種多様なゲームの中から、何を選ぶのかからもその人の性格が表れるという。

ゲーム1つからこんなにいろいろなことを見抜けるとは、何とも奥が深い。

また、最新のゲームが得意でない社員も参加できるように、昔のテレビゲームのソフトも用意されている。対戦だけでなく思い思いに楽しめるようにして、より多くの社員に参加してもらいたいと考えている。

採用にも効果

そんなeスポーツ、採用の面でも思わぬ効果を生んでいる。

渡部社長は、会社の就職説明会でも社内のeスポーツの取り組みを紹介している。すると、参加する学生の反応が変わるという。

渡部社長
「これまでは堅い会社、真面目な会社でしたから、スーツでカチッと決めてお話しするという感じだったんですけれど。もう今はフランクな感じになりますし。学生も質問とか会話とかやり取りが多くなったような気がしますね」

今では就職説明会ではスーツではなく、eスポーツ部のユニフォームを着て参加している。

こうしたことも影響して、求人サイトに掲載した会社のサイト閲覧数や応募してくる学生の数が去年よりもそれぞれ1.5倍に増えた。

岡本グループ長
「今までは会社説明会では仕事の話や会社の情報が中心になっていて、どうしても堅いイメージだったんですけれども、eスポーツの話をすることで参加者の心が開いて和やかになって、そこから話が広がるということがあります。

そのあといろいろ会社の話をするにしても、リラックスして聞いていただけるということで、会社の細かな情報も十分理解していただけるようになったのかなと感じています」

夢は広がる

社内や取引先との人間関係を円滑にし、採用の面でも効果が出始めているが、その可能性はまだまだ広がると渡部社長は考えている。

渡部社長
「山陰を出て日本国内もそうですし、もっと言うならば世界の人とこれからどんどんつながっていって、つながりの中からビジネスも生み出していきたいなと思っています。これからどんな人とつながっていけるのかなっていうワクワク感しかないですよね」

eスポーツを経営戦略に取り込もうという企業の動き。コミュニケーションの取り方が変化するいま、今後の広がりに注目できそうだ。

eスポーツ、あなどれない。

松江放送局記者
三井 蕉子
2020年入局
事件や裁判を担当
趣味はテニスや温泉巡り
小学生の頃はテレビゲームをしていたが最近はほとんどしていない

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