[ライブ配信のすゝめ]Vol.11 VR-50HD MK II活用術~esports 銀座 studio

txt:岡安学 構成:編集部

eスポーツ施設「esports 銀座 studio」が誕生


10×6mの大型LEDスクリーンを完備するスタジオ。背景映像を映し出すことでバーチャルなセットとしても活用できる

2018年に元年と言われたeスポーツは、今なお成長を続けている。コロナ禍でもオンラインで対応できるライブエンターテインメントとして、より一層注目度があがっている。市場規模も拡大しており、2019年12月には東京のど真ん中である銀座に「esports 銀座 studio」というeスポーツ施設が誕生した。

eスポーツの要となるイベント運営を担うesports 銀座 studioと同じ建物内に、人材育成を図る「esports 銀座 school」、体験型ショールームの「esports 銀座 store」がある。この3つが一か所に集まっていることで、それぞれが連携することが可能となっている。

esports 銀座 studioでは、動画配信スタジオとしてプロユースの最新設備が整っており、eスポーツイベント以外にも、音楽イベント、企業セミナーなど、様々な用途がある多目的スタジオだ。esports 銀座 schoolに通う生徒はこの配信設備を使用することができる。また、esports 銀座 storeに展示された製品も実際に使用されており、製品購入を検討している人が体験することも可能だ。一般的な家電量販店などでは販売していないプロユース向け機材も展示されており、それを体験できる最強のショールームと言える。


スタジオ内で空撮をするのに必要な大型クレーンも用意

eスポーツイベントでは、対戦するプレイヤー、ゲーム画面、実況解説ブース、会場など、様々な映像ソースを切り替えて配信する。チーム戦の場合は、各選手ひとりひとりにカメラを設置することもある。

広大なフィールドで戦うゲームであれば、プレイヤー毎に観ている画面が異なり、配信上どのプレイヤーの画面がベストなのかは、その時々で変わってくる。つまり、eスポーツイベントにおいては、スイッチャーこそ、配信動画の面白さ、クオリティの高さを決定づける要因と言っても過言ではない。

esports 銀座 studioでは配信用スイッチャーとしてローランド「VR-50HD MK II」を導入。VR-50HD MK IIは複数の映像や音声の入力をスイッチングで切り替え、ひとつの映像として出力可能なオールイン・ワン AV ミキサーだ。


プロユースの機材が取りそろっているスタジオサブ

KONAMIは、2015年の東京ゲームショウにおいて、ステージでの映像創出に、ローランドのPR-800HDを使用した経験や、2014年から行っているライブ配信でVR-50を導入した実績から、今回VR-50HD MK IIの導入に至ったという。

業務用機材ではありますが、セミプロの方でもすぐに使えるわかりやすさがあります。現場では音声や映像が様々なフォーマットで入力されることがありますが、あらゆるものに対応してくれるのが便利ですね。ガチガチのプロユースになってしまうと決まったフォーマットでしか対応できないので、業務用でありながら一般向けの使いやすさも採用されている点が決め手となり、今回導入することになりました。

(esports 銀座 studio関係者)

今や個人でも動画配信を行える時代となっており、その主流がパソコンで使う配信ソフトによるものだ。例えばゲーム実況の場合であれば、配信者とゲーム画面、対戦表の表示など画面を切り替える場面は、ソフトによって対応できるが、デジタル化することでかえって操作が煩雑になってしまうのだ。そんな時、VR-50HD MK IIの使い勝手の良さが発揮される。その一端を担っているのが物理ボタンの存在だという。


esports 銀座 studioで実際に使用されているローランドのマルチフォーマットAVミキサーVR50HD MKII

ソフトウェアはUIによって、操作に慣れるまで時間がかかりますが、ハードウェアであれば、見れば直感的に操作関連のことはわかります。細かい操作方法はさすがに覚える必要がありますが、どこを押すべきかは、物理ボタンであれば明白です。ソフトだとどこがクリックできるかドラッグできるか、それ自体がわからないです。マウス操作だと基本的に1度にひとつの操作しかできませんが、物理ボタンであれば、いくつも同時に操作ができます。可能性で言えば、手の指の数だけいっぺんに操作ができるわけです。

(esports 銀座 studio関係者)

デジタルでのスイッチングはひとつのマシンでできる手軽さがあるが、その分、負荷がかかりやすい。また、不具合が発生した場合の原因究明も難しく、ライブ系の現場ではリカバリーしやすいハードウェアの方が好まれる。

eスポーツが普及すると共に、イベントの数も増え、スイッチャーの需要も高まってきている。特に地方はeスポーツで街おこしを考えているところも多く、毎回機材をレンタルするよりは購入する方がコスト的にも手間的にも利点がある。

eスポーツ業界の発展を目指して、esports 銀座 studioと同時にesports 銀座 schoolを開設。eスポーツプレイヤーの育成とともに、eスポーツ業界を支える人材育成のカリキュラムを用意している。そのひとつが大会運営のスタッフだ。先述した通り、esports 銀座 schoolとesports 銀座 studioは連携しているので、学生ながらプロユースの機材を使い、学ぶことができる。とくにスイッチャーは技術的な問題以上に、数ある映像ソースから、今見せるべき映像の選択をする能力が求められる。その選択は、そのゲームを愛し、面白さを知っているからこそできるものと捉えている。

eスポーツイベントのスイッチングができるようになると、音楽ライブや演劇などでもそのノウハウを活かすことができ、eスポーツ選手を目指しながら、ライブエンターテインメントの動画配信プロフェッショナルとして巣立っていける。

VR-50HD MK IIが1台あれば、イベントの規模感問わず、幅広いイベントに対応できると期待しています。これまで技術的に難しい中継やマルチカムによる配信もなんでもできるようになります。
(esports 銀座 studio関係者)

また、プロ向け配信機材の購入を検討している人にはesports 銀座 studioとesports 銀座 storeが連携していることもありがたいことだろう。esports 銀座 storeは、eスポーツ専門の体験型ショールームと銘打っており、一般的なストアのような販売を重視している店舗ではない。実際に、eスポーツ関連の設備やアイテムを手に取ることができ、体験できるストアだ。そういった意味では、実際に機材を使用している現場を見ることができるesports 銀座 studioとの連携は、これ以上にない体験型ストアを実現したと言える。プロユース商品であるが故に、家電量販店などの民生機向け店舗の店頭に置かれることがない商品を試すことができるのだ。

※esports 銀座 studioは一般公開されていません


esports 銀座 storeのローランド製品のコーナー。V-8HDを使って8つの映像ソースの切り替えを試すことができる

VR-50HD MK IIは販売価格約80万円前後と、プロユースのスイッチャーとしては中価格帯に位置するが、プロユーザーや企業以外では簡単に手が出せない金額だ。しかしストアではエントリーモデルのVR-1HDから、多彩な合成機能が人気のV-8HDなどをはじめとした幅広いラインナップで展示されている。それらを自由に試せるのは、それだけでも十分価値があると言えよう。

eスポーツイベントもメジャー化し、動画配信のクオリティを求められる時代に入りつつある。そんな環境下において、スイッチャーの存在は大きいと言える。ライブで入力ソースが増えてきたら、スイッチャーの導入を検討すべき段階に入ったと言って良いだろう。そして、その際にはesports 銀座 storeで機材や運用の確認をするのがベストと言える。




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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。

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