「ロケリ」から始まる女子校eスポーツ部の歴史。創設間もない英風高等学校 –

 全国の高校eスポーツ部を巡り、その様子をご紹介する本企画。今年2校目となるのは、大阪の英風高等学校だ。

 これまで取材してきた高校は昨年も含めると5校となるが、女子校は初。部活としてはまだスタートしたばかりだが、部員は順調に集まっていて、今後の成長がとても楽しみだ。ではさっそく、英風高等学校のeスポーツ部をご紹介していきたい。

英風高等学校 eスポーツ部

左上より岡田一葉(1年)、豊島琴音(1年)、橋本凜樹(2年)。左下より大城セリナ(1年)、森岡虹心(3年、部長)、立花琴音(3年)

発足:2020年9月~
人数:12名
競技種目:ロケットリーグ
リーダー:森岡虹心さん(3年生)

主な実績:
なし(第3回全国高校eスポーツ選手権が最初の大会)

ShakeSpeare選手の活躍がeスポーツ部創設を後押し

 英風高等学校は、大阪環状線の野田駅から徒歩5分ほどの街の一角にある。広大な敷地で存在感を放っているというよりは、住宅などが立ち並ぶ中に溶け込むようにしてそこにある。グラウンドはないが、取材した日は学内のバレーボール大会が開かれており、外まで大きな声援が届いていた。

野田駅周辺の様子。住宅地が広がっている

住宅地を歩いていくと英風高等学校がある。ちなみに「英風」は古事記から引用しており、「すぐれた教え、立派な姿」の意味があるとのこと

 当校を運営する法人の歴史をたどれば、1953年まで遡る。長らく専修学校として服飾・家政分野を専門としており、体制の変化に伴って名称は様々に変遷。2014年には、従来より続くファッション科に加え、普通科が設置されたことを転機に一新された。

 さらに2020年4月からは、単位制・通信制・普通科の「英風高等学校」を新たに開校。技能連携校の英風女子高等専修学校と同じ施設を自由に利用でき、授業を受けられる。今後さらに活気を増すことが予測される学校だ。

吹き抜けの中庭には鯉が泳ぐ池があった。外から見る印象とだいぶ違う

 では、英風高等学校でeスポーツ部はどのようにして生まれたのだろうか。eスポーツ部の顧問を務める梶田昌浩先生に話を聞いたところ、「校長のアイデア」なのだと話してくれた。

 西口英和校長は、女子高校生のShakeSpeare選手の活躍が話題となった第2回全国高校eスポーツ選手権を通じてeスポーツに興味を持ち、「女子校の生徒にもeスポーツは可能性がある」と感じたという。そこで、校長直々に教務主事である梶田先生へ「eスポーツ部創設」が言い渡されることとなる。

梶田昌浩先生

 梶田先生自身、もともとはPSPで「モンスターハンター」シリーズをやり込んでいたほどのゲーム世代。最近ではプレイ時間が減ってしまっているそうだが、ゲームやeスポーツに最初から理解があり、その点でも話がスムーズに進んでいった。

 ゲーミングPCはサードウェーブの高校eスポーツ部支援プログラムを利用し、3台を揃えた。回線は、通信制高校でiPadを使った学習管理システムを使用するため、ちょうど整備をしていたところだという。新型コロナウイルスの影響などもあったが、準備が整ってこの9月にeスポーツ部がスタートすることとなった。

部長はFPSゲーマー! 同じくゲーマーの1年生にバトンを受け継ぐ

 現在、英風高等学校のeスポーツ部には1年生から3年生までの12名が所属する。第3回全国高校eスポーツ選手権ではゲーミングPC3台という環境もあり、エントリーは「ロケットリーグ」に集中。プレーヤー3人に補欠1人を加えた4人1チーム、合計3チームが結成されている。本来はもう少し所属を希望する生徒がいたが、「ロケットリーグ」の3D酔いがどうしても耐えられずに辞退したそうだ。

 3チームが3台のゲーミングPCをどう使っているかというと、活動の曜日を振り分けることで対応している。Aチームは○曜日、Bチームは○曜日などとして、それぞれのチームが存分にプレイできるようになっている。

声を掛け合いながらプレイしていく。梶田先生いわく「やらされている生徒がいないので、雰囲気がいい」

 生徒の多くはゲーム初心者か、「IdentityV 第五人格」などスマホのゲームプレーヤーが中心となっている。しかし中にはやはりゲーマーもいて、特に3年生で部長の森岡虹心さんはその代表格だ。

 森岡さんの最近のプレイ歴を聞くと、「Apex Legends」、「レインボーシックス シージ」、「デッド バイ デイライト」、「モンスターハンター:ワールド」などが瞬時に出てくるほどゴリゴリのゲーマー。最近は「Apex Legends」を中心に、ガッツリと深夜までやり込んでいる。好きなことなので、eスポーツ部への入部もすぐに決心した。

 また1年生の大城セリナさんはもともとゲームが大好きだったが、他のことに集中できるようあえてスマホやゲームを遠ざけて自らを律していたという。しかしeスポーツ部ができたと聞いて、「堂々とゲームができる!」と飛び付いた。そのためeスポーツ部の活動は、思わず笑顔になるほど「楽しくて仕方がない」そうだ。

左から、大城セリナさん(1年生)、部長の森岡虹心さん(3年生)。2人は同じチームのメンバーでもある

 とはいえ、「ロケットリーグ」経験者は部内にはいない。特に操作が難しく、なかなか思い通りに動いてくれないという車の操作にもっぱら悪戦苦闘中だ。個人練習の時間も増やしたいが、学校以外に練習できる環境がない生徒も多い。活動時間の中で、戦略を話し合うところまで踏み込めていない点も課題となっている。

 そういった課題はあるものの、森岡さんは「とにかく楽しんでやりたい」と話す。3年生は直に卒業となってしまうため、大会への出場はこれが最初で最後。「行けるところまで行って、いい思い出をつくりたい」と語ってくれた。大城さんは「新型コロナウイルスの影響で、今年は文化祭もスポーツ大会も中止になった。最後に先輩にいい思い出をつくってもらうため、精一杯やる」と意気込む。部は始まったばかりだが、部長からバトンを受け継ぎ、大城さんたち後輩がどのように活動の場を広げていくかも楽しみだ。

 なお梶田先生によれば、eスポーツ部では“女性コーチ”を募集中だそうだ。たとえばマンガ部ではプロの漫画家指導のもと、より実践的に活動を行なっており、「同じようなことをeスポーツ部でもできれば」という。「ロケットリーグ」に限らず、より広いジャンル、タイトルで指導してくれると理想的とのことだ。女子校で始まるeスポーツ部の歴史。今後の活躍にぜひ期待したい。

操作は親しみやすさを優先して、外付けのゲームパッドを使用している。時折笑いを交えながら、楽しくプレイしている様子に思わずこちらも和む

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