トークセッション「Esportsと教育の関わり」をレポート。N高等学校の副校長とアドビの教育市場担当者が考える高校eスポーツの現状と将来とは


 2020年11月15日,イベント「ESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP 2020」が東京・ヨシモト∞ホールにて開催された。「ESPORTS BEYOND SHIBUYA」は,eスポーツを中心として,個人・渋谷区・企業が教育・産業振興などにつながるエコシステムと新たなカルチャー形成を目指して発足したプロジェクトだ。今回のイベントでは,角川ドワンゴ学園 N高等学校のeスポーツチーム「KDG N1」と有名ストリーマーやプロ選手が,「リーグ・オブ・レジェンド」のエキシビションマッチを行った。

 本稿では,イベント中に行われたN高等学校副校長であり,次年度に開校するS高等学校校長の吉村総一郎氏と,アドビ 教育市場部 マーケティングマネージャー 原 渓太氏によるトークセッション「Esportsと教育の関わり」の模様をレポートする。

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吉村総一郎氏
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原 渓太氏

 トークセッションの冒頭,吉村氏はN高にeスポーツ部があり,部員が現在800人を超えていると紹介。また,さまざまな大会で実績を残していることにも言及した。
 とはいえ,N高のeスポーツ部の目的は勝つことではなく,eスポーツを通じて人間的に成長することだという。教育の観点からは,eスポーツという競技の中で,生徒自身が自分なりの目標を立てて,その達成に向けて努力・熱中することが望ましいというわけである。

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 原氏は,eスポーツが単なるゲームではなく,他者と関わり合いながら一緒に成長していくものであると表現し,そこにはコミュニケーションが不可欠であると指摘。そうしたコミュニケーションにはビジュアルも含まれるので,アドビのクリエイティブツールが貢献できると語った。
 また原氏は,昨今のSNSにお洒落なカフェの写真が多数投稿されていることを挙げ,今後eスポーツでもそうしたケースが増えていくだろうと予想していた。

イベントの司会進行は,League of Legends Japan League(LJL)のメインMCで知られるお笑い芸人のタケトさん(左)が務めた
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 「eスポーツに取り組む生徒達の意識」というテーマでは,吉村氏が「単なる娯楽ではなく,将来につながるものとして認識している生徒が多い」と発言。プロプレイヤーや動画配信者として活動することはもちろんだが,競技としてeスポーツに取り組んだことやコミュニティ大会の運営経験を,大学の推薦入試や就職の際に実績として申請するケースが増えており,実際に評価されているという。
 原氏も,多くの企業がデジタルリテラシーを持つ人材を求めていることに言及。とくに昨今は,SNSを使って短いスパンで情報を発信するケースが増えており,その都度画像や動画の制作を外注していたらタイミングを逃すため,今後社内にクリエイティブを作れる人材を置きたいという企業が増えてくると語った。

 実際に,eスポーツに出会ったことで目標を見つけたN高の卒業生の事例も紹介された。この生徒は将来eスポーツに関わる職業に就きたいと思い,そのためには日本におけるeスポーツの土壌を広げなければならないと考えたという。その第1歩としてN高で「リーグ・オブ・レジェンド」の普及活動をし,コミュニティを作ったとのこと。さらにチームを結成して「第1回全国高校eスポーツ選手権」に参加したが,自身はアナリストやマネージャーとして貢献したそうだ。
 N高卒業後は専門学校に入学し,eスポーツの大会運営などを学んでいるとのことで,吉村氏は「eスポーツが大きく人生を変えた」「eスポーツという競技から得られるコミュニケーション能力は,社会から得られるそれに近い実践的なもの」と語った。

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 また原氏も「ゲームは人から強制されるのではなく,自分が好きだから始めるものなので,エンゲージメントが深くなりやすい。自ら目標を立てて1つ1つステップをクリアしながら進められるので,モチベーションを維持しながらさまざまなチャレンジができる」と話していた。

アドビと「リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト」が,12月13日までコラボ開催している,学生対象のクリエイティブコンテスト「飛び出せワイリフ!」も紹介された
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 「高校生eスポーツ大会の課題」というテーマでは,吉村氏が暴言や差別の多さを指摘。N高では,負けたときにも「ありがとうございました」「GG」と相手に感謝の意を示したり,同じ競技に参加する者として敬意を表したりするよう指導しているとのこと。またチーム戦は,メンバー間の信頼関係がないと高いパフォーマンスが出せないとし,人格形成の良い機会であるとも話していた。
 原氏は,eスポーツの登場によりゲームのネガティブなイメージが払拭されつつあることを指摘し,今後はよりポジティブに捉えられることへの期待を語った。

 「eスポーツに対する理解と機会の場を増やすには」というテーマでは,吉村氏が生徒達の人格形成を促すために,大会開催などの支援をすることが重要だと語った。とくに教職員は,eスポーツ大会に参加したいという生徒がいたら,大会の開催情報を教えたり,チームのメンバーを集めたりといった形でサポートしてほしいとのこと。また学校の代表として大会に参加することは,生徒達の学校への帰属意識が高まり自信が付くという指摘もなされた。
 原氏は,eスポーツに取り組んでいる生徒達に,自分はこういう人間だ,自分達はこういうチームだということをどんどんアピールしてほしいとし,そうすることで世間のeスポーツに対するイメージも変わっていくと語った。またその過程で,ロゴや動画を制作する際に権利関係を学ぶなど,人間的・知識的な成長が図れるだろうと話していた。

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 「将来,eスポーツと社会はどうなる」というテーマでは,吉村氏がLINEリサーチが調査した現在の高校生のオンライン事情を披露。それによると,高校生の8割が毎日オンライン動画を視聴しており,その内訳を見るとゲームのプレイ動画や実況動画は男子で1位,女子でも2位だという。その状況を受け,吉村氏は,彼らが社会人として活動する10年後には,eスポーツが最大級の娯楽になっていても不思議はないと期待を語った。
 原氏は,現在多くの企業がeスポーツに注目しており,年々増している状況とし,10年後と言わずもっと早い段階でメジャーな存在になると予想。そのとき,eスポーツに関わる人達が自由に表現し,それがコンテンツとしていろんな人を幸せにするものになっていくよう,アドビも貢献していきたいと意気込みを述べてトークをまとめていた。

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