E-スポーツ×ホテル!?異色のコンセプトで攻める宿泊施設「esports hotel e-ZONe ~電脳空間~」とは?

eスポーツがさらなる盛り上がりを見せる昨今。この盛り上がりは大会・競技シーンだけにとどまらず、イベントの開催やデバイスやグッズの販売などその周辺への影響も大きい。そんな中で今オープンが重なっているのがeスポーツ施設である。大会の運用をメインにした施設からゲームを楽しむ施設まで、盛り上がるeスポーツをさらに盛り上げまいと各地にeスポーツ施設がオープンしている。

さて、そうした中でとある異業種がこの流れに乗り遅れるなとeスポーツに参戦してきたのをご存知だろうか。2020年8月8日大阪・日本橋にグランドオープンしたホテル「esports hotel e-ZONe ~電脳空間~」(以下e-ZONe)である。このホテルは泊まれるeスポーツ施設をコンセプトとした異色のホテルだ。

このホテルはこれまでホテル・旅館業を手掛けてきた株式会社サンユー都市開発・株式会社オックスコンサルティングが経営しており、ゲーム業界と大きなつながりはない。だがホテル・旅館業としてこのeスポーツの伸びを見ればeスポーツに関わる宿泊施設もまた増えるだろうと予測し、先んじて業界に参入してきたとのことだ。

ホテル業が考えるeスポーツ施設の形とは? 今回、その内部を取材させていただくことができた。

 

「e-ZONe」には個室プランとカプセルプランの2つのプランがある。部屋数から考えてもカプセルプランがメインではあるが、面白いのがプレミアムプランとなる個室プランであろう。なんと個室プランには人数分のゲーミングPCが備え付けられており、仲間と宿泊しゲームを思う存分楽しむことができる。室内のデザインだけでなくホテル全体のデザインがそうであるが、テーマパークのようににぎやかで、ゲームを遊ぶ特別な空間を意識している。

ゲームは家でもできるというのは事実ではあるが、お友だちと並んで遊べる環境というのはなかなかない。そういったとき、インターネットカフェやそれこそeスポーツ施設を活用することになるわけだが、そうした場所は基本的にオープンであり、仲間だけで楽しむというのはなかなか難しい。

そうした需要に応えるのがこの個室プランというわけだ。客室にこれだけしっかりしたゲームプレイスペースが設けられているのはeスポーツホテルだからこそだ。しかもここはホテル、夜通し仲間と好き放題ゲームを楽しみ、疲れたらスグ眠りにつけるというのも魅力だろう。しかも、個室のベッドは西川ブランドのエアマットレスを採用しており寝心地もバツグンだ。さすがホテルだけある寝心地を体験できる。まさしくeスポーツホテルならではのサービスだ。

新型コロナウイルスの影響により客足が遠のいているホテル業、当然「e-ZONe」もその影響をモロに受けている。が、そうした中でも個室プランは人気で、予約も先までされている状況だそうだ。4人部屋が1室、2人部屋が2室とプレミアムプランらしく部屋数は少ないが、eスポーツホテルならではを求めて宿泊客が集まっているのだろう。ご友人だけでなく、カップルでの利用も多いとのことだ。

個室はプレミアムプランのため、より一般的な利用となるのがカプセルプランであろう。カプセルプランは1~3階に設置されたプレイルームを自由に利用しゲームを楽しめるプランだ。男性フロアと女性フロアが分かれており、男女ともに安心して利用できる。ざっくりいえば、カプセルホテルにeスポーツ施設がひっついている形だ。

LANパーティに何度か参加している筆者が思うに、仲間と集まってこうした施設やイベントでゲームを夜遅くまで楽しむとき睡眠場所の確保は大変だ。また確保した睡眠場所と会場との行き来も面倒である。だからこそ、この施設を利用してのゲームプレイは想像以上に楽だ。仲間内で集まって遊ぶだけでなく、eスポーツクラブの特訓やゲームイベントにも向いているかもしれない。

もっともホテル施設としてeスポーツ施設にこだわったホテルであり、お風呂やレストランなどにこだわったホテルと比べれば当然弱い部分はある。そこはコンセプトの差と考えるのが良いだろう。なお、このeスポーツ施設のみを利用するデイユースプランも用意されている。1時間250円でホテル内施設のプレイルームを利用できる。

ではこだわりのeスポーツ施設はどんなものなのか。ゲーミングPC、ゲーミングチェア、ゲーミングデバイスが備え付けられているのは当然のことであろう。PCスペックも現在のゲームなら問題なくプレイできるマシンを用意しているとのことだ。もちろん機材・ゲームソフトの持ち込みは可能で、利用者の思い思いの利用ができる。PC前には飲み物のみ持ち込み可能だが、飲食エリアも用意されている。

新型コロナウイルスが気になるこの頃ゆえ、オープンな環境のプレイルームの感染対策も紹介しておこう。このホテルでは宿泊者にアカウントを作ってもらっており、これでPCの利用をすべて管理している。どの部屋の誰がどのPCを利用しているかがフロントでモニターされ、利用が終了すればすぐに清掃を行っているそうだ。ホテル業ならではの管理が活きた場面であろう。

面白いのが機材レンタルサービスだ。施設利用者は無料でさまざまな機材をレンタル可能で、この取り揃えがなかなか面白い。ゲームコントローラやアーケードスティックはもちろん、ストリーミング配信用の機材としてコンデンサマイクやハンディカムと三脚とかなり本格的な機材をレンタルできる。さらには「オーナーがゲーマーには絵を書く人も多いと聞いて……」と液晶タブレットまで用意されている。今後も利用者の声を反映して機材を充実させていきたいそうだ。

ゲーミングPCというハイスペックPCを利用したいのはなにもゲーマーだけではない。クリエイターやビジネスマンにとっても、ゲーミングPCのハイスペックは魅力だ。ホテルでそうしたハイスペック環境を利用できるというのはこの施設ならではの魅力である。ソフトウェアの持ち込みも歓迎とのことだ。西のオタクの街日本橋に立地しているホテルということで、例えば同人サークルの仲間とイベント前にホテルにこもって作業を……なんて利用もありかもしれない。もし同人イベントが今の時期に通常通りあったのならば、ゲーマー以外の利用者も殺到したのではと思ってしまう。

建物の作りもこだわりがあり、2階プレイルームからは吹き抜けを通じ1階の席を真上から見ることができる構造が特徴だ。これはゲーム大会を行った際に、一階の席を選手がプレイする席、2階を観戦フロアとして選手の手元を観れるようにと考えた作りだそうだ。PAルームも用意されており、ゲーム大会用のホールはないものの、さまざまなイベントを行えるよう工夫がなされている。

現在はまだ提携団体が少なく、イベントはホテル主催のゲーマー交流会がメインとなっている。8月22日は『Dead by Daylight』の深夜イベントが開催予定だ。ホテルならではのオールナイトイベントである。企業やeスポーツグループとのコラボレーション先を探しており、プレイルームでのイベントに興味のある方はぜひ連絡をしてほしいとのことだ。プレイルーム貸し切り対応もできるそうなので、ご興味のある企業・団体担当者は相談してみよう。

eスポーツとホテルを組み合わせたコンセプトは、悪い言い方をすればイロモノな雰囲気を感じてしまいがちだ。だが、訪れてみると宿泊施設が付随するeスポーツ施設として真面目に作られているように感じられた。もちろん、スタッフの方もおっしゃられていたが経営はホテル業を長くやってきているがeスポーツはまだまだわからないことが多く、至らぬところもあるだろう。特にスタッフさんが話してくれた「eスポーツを意識してフロアの廊下をLEDでかっこよく光らせたら、お客様から持ってきた薬などの色がわからない。という意見がきてしまった」というのはゲーミング光るLED失敗談として規模がでか過ぎてなかなかにキツい。

だが、スタッフさんはこれから利用者の方の声を参考にどんどんアップデートして、地域のeスポーツコミュニティの拠点として活動していければとおっしゃっていた。今後ゲーマーの意見で良くなっていくはずだ。業界にどういった風を吹き込むのか今後が楽しみである。8月に開業したばかりの「e-ZONe」、気になる方はぜひ利用してみてはどうだろうか?

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